Weekly Yoshinari

Weeklyじゃなくてさーせん🙏🏻

ハロプロを語る。

大学時代の友人しか知らないことの1つに、私がハロプロこと「ハロー!プロジェクト」のファンだということがある。ただ、私にはお金と時間に余裕がないので、ライブには参戦したことがない。CDを買ったり、YouTubeで動画をサーフィンする程度のため、ガチガチのファンというわけではない。あとは、たまにiTunesでアルバムを買うくらい。
しかし、ハロプロ楽曲は、辛い気持ちをすくい上げてくれる大事な存在だ。たいした課金もしていないのに、こんなに助けてくれてありがとうという気持ちになる。

世間的に最も有名なハロプロのグループは「モーニング娘。」だろう。自分自身も、幼稚園児の頃に「恋愛レボリューション21」を街中でよく耳にしていたことを覚えている。口ずさみながら、自分もアイドルになれると信じていたりもした。無邪気!
次にハロプロと再会したのは、高校時代だった。
中学時代は、AKB48が好きだったのだが、公式ライバル設定の乃木坂46が登場したくらいから、メンバーが多すぎて追えなくなってしまった。この後から現在まで坂道系は人気を誇ることになるが、アップビートな曲の方が好みなので、清楚さを全面に押し出す乃木坂のキャラクターは、自分の趣味と異なっていた。
世間の流行を追わなくなった時に気になったのが、なぜかモーニング娘だった。モーニング娘って今もいるのかなと疑問を持った、というくらいの理由だった気がする。
懐かしさからYouTubeで探しだした「恋愛レボリューション21」を聴いてみたところ、何となくすごいなと思った。幼稚園の頃は、ノリの良さしか分からず、歌詞には注目していなかった。
この星は美しい / 2人出会った地球
何となく、「みんなで恋愛革命」の歌詞にも見られる、パーティーのようなノリに注目してしまっていたし、ワンナイトのような軽々しい男女関係を歌っているものだと勝手に誤解していた。
いやいや、この歌が伝えたいのは、愛を育む人間の美しい部分なのでは?この歌自体が、明るいものに見えて、本当はしっとりした愛の本質を歌っているのでは?
深い。考えても正解が出ないほど。アイドル楽曲とは思えないほど、ハロプロの楽曲って深いのではないのか。
それでは現在のモーニング娘。はどうなのかと、視聴したのは「ブレインストーミング」(モーニング娘。)。2013年当時の新曲だった。2013年!!今、これを書きながら、約9年前の曲であることに驚愕している。
この「ブレインストーミング」について、初めて聴いた時の感想は「意味不明」だった。
それまで聴いていたアイドルの楽曲と言えば、大人気だったAKB48AKB48の歌詞は、分かりやすいのだ。当時の流行曲は「ヘビーローテーション」だったが、「僕」と「君」の関係をポップに歌いあげている。情景が頭の中に浮かびやすく、5分間アニメーションのような親しみやすさがある。
それに引き換え、「ブレインストーミング」の歌詞は、一見、歌詞として1つの風景を描いていないように見える。
開始30秒後には
今週の週末だな / 誰かに出会えそうかな
という、AKB48楽曲にも見られるようなフレーズを挟んでいるのだが、それから30秒もしてサビを終えれば
時代を読み取れ
と高らかに歌われる。スケールの格差がすごい。出会いを期待している可愛らしい女の子の脳内を歌っていたのかと思いきや、本当は歴史的考察でもしていたのかと。
一体この曲は何を主題にしているのかと、歌の解釈に躍起になっている間に、まんまとハロプロ沼に嵌った。
以来、9年以上も聞き続けているというわけだ。

 

入口は「恋愛レボリューション21」と「ブレインストーミング」という、ハロプログループを代表する「モーニング娘。」による楽曲であったが、気がつけば他グループの曲も試聴するようになった。
作詞作曲者を問わず全曲に共通するのは、ポップだがスケールが大きくて、ちょっと幸せなのにラメ状の寂しさを混ぜたような雰囲気だと思う。そして、大小様々な愛を盛り込む。一筋縄ではいかない機敏な感情を6分以内の独特なメロディーにのせており、アイドルよりもアーティストの枠組みの方が相応しいクオリティなのだ。
この特徴が如実に現れているのは、「46億年LOVE」(アンジュルム)ではないだろうか。なお、ハロプロつんく♂プロデュースという印象が強いが、現在は本曲のように様々な作詞家が携わっている。
この「46億年LOVE」、地球の歴史そのもののタイトルだが、人類愛や自然愛を厳かに歌っているわけではない。
「一生守る」とすぐに誓うけど / あなたの一生って何度目?
という歌い出しが痺れる。46億年に比較して、人間の一生なんてたかだか80年ほどか。とても短く、とても小さな「一生」という言葉を持ち出すくせに、それすら守れないよねという、皮肉のような強い一節。
2番は、
生き残り続けられたとして / 行き着く先はどこなの?
という、ifにも取れる疑問から始まる。1番の歌い出しで、「一生の約束も守れない」と歌っているが、仮に約束が守られたとしても、私達には先のことなど分からないので、約束が守られるかどうか自体が、本当はものすごく小さいことなのかもしれない。
歌い出しだけを比較すると、少し重たい曲に感じるかもしれない。だが、サビはとても明るい。そして、ちょっぴり寂しい。ハロプロっぽさ全開だ。
来てよ!優しい愛の時代 / 女も男もみな人類/歴史に名を残す前に / アツイ電話くれなきゃ無理無理
「歴史」と「電話」を用いて、時間の長短を対比させている。すごい。裏を返せば、アツイ電話を厭わないほどの愛を80年間育める人でないと、歴史に名を刻めないのかもしれない。もしくは「歴史に名前残すよりも、私に電話してよ!」と照れくさそうに笑う女の子を思い浮かべると、素直ではなく恋愛下手な感じが可愛らしい気もする。ちょっと個性的かもしれないけれど。
いずれの解釈にしても、聴き手を唸らせるフレーズだが、個人的に一番すごいと感じるのは、ラスト前のサビだ。
もしも争いのない未来 / 誰かが堪えてたら意味ない / 夢に見てた自分じゃなくても / 真っ当に暮らしていく今どき
歌い方が上手いことも相まって、心に響くものがある。
人間は、愛を求める。聖人君子も独裁者も、神話の神々も、歴史に名前を残すような人であったとしても。
しかし、同時に私達の生き方は、誰かを傷つけているものかもしれないし、自分の想像とは異なっているものかもしれない。
それでも、今を真っ当に生きていくのだ。
最後はこう結ばれる。
ノッてこう / 結局はラブでしょ / 地球回る 宇宙もDance Dance
ノッてこう / 大きなラブでしょ / 愛は越える/ 46億年
人間の歴史には、愛がある。愛があったから、私達のイマドキが作られている。地球の歴史を超えるくらいの尊い存在は、目には見えないものの、全ての人類にプログラムされ続けているのだ。

ハロプロの楽曲のテーマは、愛だ。恋を中心に据える他のアイドルグループとの違いは、ここにある。恋は一瞬、愛は永遠。彼女たちが捉える時間軸は、とてつもなく長い。46億年なんて超えてしまうほどに。
人間は愛を求める生き物である。だからこそ、永遠のテーマを切なくポップに歌い上げる彼女たちは、とてつもなく魅力的なのだ。

 

ハロプロの虜になって10年目も近い。月日を重ねても、私の胸には彼女たちの歌が響き続けている。

時間の概念を超えたとしても、きっと変わらないんだろうな。そんな訳で、これからも心を支えてくださいますようよろしくお願いします。