Weekly Yoshinari

Weeklyじゃなくてさーせん🙏🏻

アラサー女、やる気に欠けたまま有給消化する

私は何事に対してもやる気に欠けている。

前日までは元気があって、わくわくして、好奇心旺盛で、海底から宝石を探りだすような気持ちでいたのに、当日になると何もかもがどうでもよくなる。

それも、一日中ゴロゴロしておきたーい!なんて子猫のような生き方を望むようなものではなく、ラクな死に方は存在しないのかと悩むほどの落ち込みようなのだ。

人生に対して疲れてしまった。人生には未練がない。一生懸命生きてきたと思うし、人並みの努力もしてきた。でも、思いどおりに生きられていない時点で、自分の人生は詰んでいる。 

……ということ考え出すのが、GW明けである。浪人時代からの習性であり、いまやこの領域にくると「お!梅雨の時期に突入かな?」という気づきにもなっている。

たぶん、季節性のうつ病だ。

 

こうなることが分かっているので、あらゆる対策を講じてきた。友達と会う予定を入れておくとか、職場の飲み会参加に手を挙げるとか。

だが、これらが上手くいった試しはない。どこかで希死念慮が湧いてきて、予定を入れた4月の自分への恨みをつのらせることとなる。

未来の自分の恨みを買うと分かっているものの、なんとか回避できるのではないかと思うのが人間だ。

今年は英語の目標点が取れたこともあり、もっと大きく、週末一泊二日ひとり旅の計画を立ててみた。幸運にも、貯まったマイルやポイントのお陰で交通費がタダになるためだ。

わくわくしながら、行先近くの美味しいものを探していたが、夢は叶わず終わった。金曜日に体調を崩したためだ。よって、全ての予定はキャンセル。私に残ったのは、ホテルのキャンセル料と無駄な月曜休みであった。

月曜に有給を取得したのは、神経質な性格ゆえ、旅行中と旅行後は9割方体調不良になるのを見越してのことだった。

これは自分の悪いところだが、年末年始と旅行翌日と病気以外で有給を取るのには躊躇ってしまう。12月になってから、慌てて有給取得に走るのもお決まりのパターンだ。それでも年度末には30日くらい有給が余り、翌年に繰りこせない分は切り捨てられている。

月曜日は、身体的には元気だった。

何の用事もなく、突如現れた休日。予定は空白だが、何かをしなければ損な気がした。だが、季節性うつ病(仮)の影響によって、精神的には元気ではない。何もしたくない。

普段なら喜ぶはずの美術館巡りすら億劫であった。Dior展は行ってみたかったが、残念ながら休館日だったし。

何かしなければ。でも、やる気にならない。でも、動かなければ、無駄な時間を過ごすだけだ。貴重な月曜日の休日なのに。

私は逡巡した。

 

そして、決めた。

とりあえず、一人で焼肉を食べよう。話はそれからだ。

 

ソロ活は余裕でこなせるので、ひとり焼肉なんてなんのその。

「いらっしゃいませー」

店員さんの声が響き渡る。店内に一人きりでも気にしない。

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昼から生ビールだ!!!!プレモルだ!!!!

圧倒的!!!背徳感!!!!

なぜお昼のビールは、こんなにも夜より美味しいのだろうか。

私は普段、似非ベジタリアンを気取っているので、友人と飲みに行く時以外はお肉を食べない。最近は飲みに行く友人すらいないので、お肉を食べる機会に乏しい。

久々のお肉はとてつもなく美味しかった。ジューシー。これだけお肉の誘惑に勝てないのだ。真のベジタリアンになんて、一生なれない。都内郊外のチェーン店なので、そこまで肉の品質は高くないはずなのに、まったく気にならない。これは、自分が貧乏舌であるせいか。

ただ、ひとり焼肉の欠点は、とてつもなく忙しいことだ。お肉の世話をしつつ、食べて、飲んでを繰り返す。休まる時がない。

でも、縮むお肉の観察は好きだ。

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ごちそうさまでした。

ビールを飲みほすと、なんだか元気が出てきた。世の中の悩みの全てが、どうでも良くなった。世界って、こんな輝いていたっけ。

定期的なアルコール摂取は、精神安定剤なんだな。(※発想がアル中)

 

気が大きくなったのを良いことに、丸の内へ行くことに決めた。

都内のお気に入りスポットと言えば、丸の内エリアだ。次点で銀座。

年末に駆け込みで有給を取る時などは、カレーを食べてから、丸の内にある三菱一号館美術館へ行くのが定番の過ごし方だ。

しかし、今日の目的地は、三菱一号館美術館ではない。

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オアゾ丸善だ。

英国展を見たいという理由とともに、後回しにしていた英語文献探しが目的だ。

ここの丸善で一番好きなフロアは4階だ。洋書がいっぱい置いてあり、書棚を歩くだけで、ヨーロッパの街中にある本屋さんを散策しているような気持ちに浸ることができる。

洋書はAmazonでも買うことができるが、英語力不足により、目的とする内容の文献ではないかもしれないという心配にかられる。直接見た方が安心だ。

留学のための志望理由書を練り始めたのだが、自分の表現力不足により、中学生レベルの内容しか書けずにいる。changeとmakeを乱用する文章に嫌気がさし、専門書を読む大切さを痛感したというわけだ。

しかし、洋書は高すぎる。これいいじゃんと手に取った本が、かるく10,000円を超えている。志望理由書の参考にしたいだけなのに、諭吉が飛ぶのか。次回のボーナス時に、再度相談としよう。

この後、ヴィンテージグッズからサッチャー政権下の生活を想像してみたり、1か月分の食費以上するパディントンのぬいぐるみに微笑みかけたり、カラフルなバッグの値段に目玉がとび出たりと、様々な発見をしつつ英国展を楽しんだ。

 

書店を徘徊して、1時間以上が経過。普段の運動不足が祟り、書店を歩き回るだけで疲労感を覚えた。

こんな時こそ、お薬が必要。

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甘い物とアルコール。焼肉よりは映えてる写真が撮れた……と思いたい。

このレモンサワー、美味しかった。レモンがゴロゴロ入ってる。平日の昼下がりに飲むアルコールは、やはり格別。背徳感が、いい味出してる。

この時点で、おやつの時間だった。明日は仕事だし、名残惜しいがそろそろ帰るとするか。

左手でインスタをスクロール、右手でバナナすくいと両手を忙しく動かし、やり残したことがないか確認する。

……あったわ、やり残したこと。

さっき、自分で書いたではないか。普段は三菱一号館美術館へ行くって。有給の日にはアート巡りをするのが、いつもの私なのだ。やっぱり今日だって、どこかには行きたい。

アルコールがぶがぶしてる場合じゃない。

こうして、インスタを閲覧して、直感的に気になった展覧会へ向かうこととした。

 

降り立ったのは、天王洲アイル駅羽田空港に行く時に通り過ぎる駅という認識しかなかったが、付近で可愛い展覧会をやっているらしい。

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周りをカップルとオシャレ女子に囲まれ、アルコール摂取済みのすっぴんアラサーは肩身が狭い。カラコンとマスク付けていて良かった。

 

映画「グランド・ブダペスト・ホテル」でお馴染みのウェス・アンダーソン監督。ライトトーンとペールトーンを使い分け、ショーケースにコレクションしたくなるような洒落た世界観が特徴的だ。

邦題では分かりにくいが、本展覧会は海外ではAWA(Accidentally Wes Anderson)という名前であり、展覧会の由来は同名のソーシャルメディアだ。AWAについては、展覧会HPに「世界の実在の風景から、ウェス・アンダーソンの映画に出てきそうな場所を撮影し投稿する、人気Instagram コミュニティ」とある。

本展覧会には、監督が撮影した写真ではなく、監督のファンが立ち上げたコミュニティに投稿された「ウェス・アンダーソン風」写真が展示されている。

そして、Instagramが人気に火をつけた展覧会らしく、展示作品は全て写真や動画撮影、投稿可ということだそうだ。

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入った瞬間からオシャレ。

統一感がある色相と、左右対称な構図は確かに、ウェス・アンダーソン監督風だ。

海外だけと思いきや、日本が撮影場所になっている作品もある。

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関西人にはお馴染みのナガスパらしい。他にも、新幹線を切り取った写真や、嵐山モンキーパーク(京都)の写真もあった。

これ↓は、私が撮影した写真の中でのお気に入り。何気ない車窓の風景だって、こんなにオシャレ。

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作品を単体で見た時の個人的ベストはこれ↓。

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ミラノのカフェらしい。私もイタリアへ留学できたら、こんな写真をいっぱい撮影して、うっとりするようなInstagramを作りたいものだ。

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グランド・ブダペスト・ホテル」からの着想か、ピンク色の建物が被写体となっている作品が比較的多かったように思う。

日常風景の一部を切り取っただけで、非日常な世界観へと変わるなんて、とても素敵だ。

 

満足感。充実感。

展示場を後にした私は、焼肉を食べる前よりも元気だった。

美味しいものを食べて、海外気分に浸って、綺麗な写真を撮影して、自分にとってはこの上ない贅沢だ。

 

気持ちが落ち込むことは多いが、ゆっくりでいいから、心に光を差し込んでくれる経験を積んでいきたい。

 

【余談】

平日昼から焼肉女子会をしたが、アルコールなしでも最高だった。

昼から焼肉って、幸せな気持ちになるんだなと実感した。

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