Weekly Yoshinari

Weeklyじゃなくてさーせん🙏🏻

魔法で時間が溶けてゆく

2年前のGWは、嬉しいことに友達が遊びに来てくれた。社会人になったばかりであり、お互いに寂しかったというのも理由だろう。大学時代に戻ったかのように、わいわいと東京タワーに登った。

昨年のGWは、3回ほどオンライン飲み会を楽しんだ。まだコロナウイルスによる緊急事態宣言にも慣れておらず、他人と会えない中でも楽しみを見いだそうと、私達は休むことに必死だったのだと思う。

 

そして、今年のGWはというと。

オンライン飲み会を開催しようと言い出す人もおらず、遊びに行くこともできない。暇な24時間が繰り返されるだけだ。

先日受験したIELTSの結果待ちの状態であり、そわそわして英語の勉強も手につかない。在宅勤務が開始したため、ステイホームが特別なこととも感じられなくなり、風に漂うスカーフを目で追う時と同じ気持ちだった。

そんな私の特徴と言えば、不意に何かを思い立つことである。

元来、一人が大好きな陰キャ属性の私は、頭の中に啓示とも言うべき何かが浮かんだ。

ハリー・ポッターを全て観よう。

というわけで、今回は、貴重なGWをハリー・ポッター+ファンタスティック・ビーストの合計約24時間で溶かし、気分は魔法省職員である私の視聴記録です(3.5日間で制覇しました。暇すぎやろ。)。

 

【今回視聴するまでの私とハリポタ】

私は元々、ハリポタの熱烈なファンというわけではありません。私と同世代の方と多くがそうであるように、第1話「賢者の石」から第3話「アズカバンの囚人」までは、今は亡きVHSを買ってもらい、小学生の頃に繰り返し観ていたくらいです。あの頃は、自分が魔法使いだと本気で信じていて、11歳になればホグワーツの入学許可書がフクロウ便で届くと思い込んでいたのですが、ある日、目が覚めました。

私って英語話せんやん。ホグワーツ行かれへん。

この世に魔法が存在しないと気がつくと、途端に興味を失い、私はそれからハリポタを見なくなりました。

中学生の頃に、ふと思い立って、ツタヤで第4話「炎のゴブレット」と第5話「不死鳥の騎士団」を借りてみましたが、あまり記憶に残っておらず。また、これらを借りる前に友達に誘われて、第6話「謎のプリンス」を映画館まで観に行ったのですが、さっぱり内容を理解できませんでした。そりゃあ、第3話からいきなり第6話を見ても理解できるはずないですよね。ポップコーンを食べすぎて、お腹を壊した記憶はあります(アホ)。

 

それでは、まったくファン要素のない私の、ハリポタ耐久視聴レースの始まりです。多少ネタバレがあるかもしれません。要注意です。

 

【第1話「賢者の石」】

さすがに、何十回と観ただけあり、記憶には一番良く残っていました。よく、鉛筆持って「ウィンガーディアム、レディオーサ!」を真似してたなあ。懐かしい。ただ、幼い頃は日本語版で見ていたところ、今回は字幕版。初めて、本物のハリー達の声を聞くことができました。

幼い頃に憧れを抱いた場面は多いのですが、中でもダイアゴン横丁とホグワーツ内の食堂は格別です。石畳のちょっと雑多な街並みとか、宙に浮く蝋燭とか大好きです。自分にとって、日本の建築よりもヨーロッパの建築の方が、見ていて胸が躍るのですが、それには少なからずこの映画が関係しているような気がしています。ヨーロッパの建築物や絵画の、重厚な中に緻密さを保った空間作りからは、型にはまらない自由さを感じられます。成長して心が汚くなった私は「こんなにたくさんの料理を食べきれるはずがないのに、どうするつもりなのだろうか」といらぬ心配をしてしまいましたが。魔法を使えば食品ロスなんて起こらないのでしょう、きっと。

第1話は、魔法ワールド盛りだくさんなので、見ていて飽きないですね。ゴブリンのような架空の生物が登場したり、箒で空を飛んだり、想像上の魔法界あるあるで溢れているので、わくわくが止まりません。チェスで闘うとか夢がある。

しかし、毎回会ったことない人から「おお!!ハリー・ポッター!!」と言われると、精神病みそうですよね。私ならマルフォイから「僕が友達の作り方を教えてあげよう」と手を差し出されたら、「ありがとう!また分からないところとかあったら教えてね!よろしく!!」とか返事しちゃいそう。これが、天才と凡人の違いなのか。

 

【第2話「秘密の部屋」】

小さい頃、いつも最後の方であくびをしていた本作品。だって、私の好きな煌びやかなイギリスの雰囲気が皆無の地下トイレ(言い方)ですからね。ここ、絶対にくさいやろという感想しか湧いてきませんでした。また、改めて見直したところ、ようやくトム・リドルについて理解ができました。ずっと彼の存在が謎だったんですよね。「数十年前に死んだはずなのに、どうして部屋に現れたの!?しかも、日記に歯を突き刺したら死んだよ!?」みたいな。

それから、屋敷しもべのドビーに苛立っていたのですが、今回見ると、なぜか可愛く思えてきました。一人称が「ドビー」なんですね。ペットみたいで可愛い。ただ、ハリーを守ろうとするあまり、逆に迷惑をかけているのはどうかと思います。
そう言えば、第1話で登場した飛行術の先生ってどこに行っちゃったのでしょう。ホグワーツって、結構先生の入れ替わりが激しいですよね。職場環境ブラックそうですが、全体的に旧時代的なので働き方改革なんてなさげですし、きっと魔法界で働くだけでも試練の連続なのでしょう。

 

【第3話「アズカバンの囚人」】

この回は、わりと好きだった話です。ファンタジー作品あるあるなタイムトラベル要素を含んでいる回。そして、ハーマイオニーが可愛いから美人へと変身する回。

開始早々の迷子の魔法使いお助けバスみたいな、現実世界と魔法界を繋ぐような場面がお気に入りです。本当は、魔法界が存在しているのではないかと思わせられる描き方がうまいですね。小学生の頃は、この映像技術を本物だと信じていたわけですが……。

今までの謎が少しずつ明かされる且つ次回以降の布石にもなる本作品。スネイプが3人組を助けにくるシーンのような「敵だと思っていたけど、実は味方になってくれる」という流れは、少年漫画でも良く見かける展開であり、古今東西で愛されるのだろうと思いました。もちろん、ロマンに溢れているので、私も大好きです。

 

【第4話「炎のゴブレット」】

ひたすらハリーが可哀相案件。自分は立候補していないのになぜか「三大魔法学校対抗試合」の代表に選ばれた上に、友達からもなかなか真実を信じてもらえず、挙句の果てには目の前で先輩を殺されるとか、自分だったらトラウマになりそうです。教師も「この決定は絶対だ」ではなくて、もっと犯人探しをしようよと。つくづくこの組織、トラブル処理が下手くそですよね……。友達も、長い付き合いなのだから信じてあげればいいのにと切なくなりました。

一番可哀相なのは、いきなり登場したものの、あっさり殺されたセドリック。本作品では数少ないハッフルパフ生だったのに。出てきた時から、モブキャラ感はありましたけどね……。成績優秀、イケメン、人望も厚いと、絵に描いたような優等生が前触れなく登場するんだから、裏があると疑わずにはいられない。

本作品の最後で、名前を呼んではいけないあの人が復活。第1話の「魔法界わくわく感」は遠く彼方に消えてしまいました。悲しい。これを言ってはいけないかとは思いますが、第3話で登場した「逆転時計」を使って、対抗戦の第3試合開始時点に戻れば、セドリックも死なず且つヴォルデモートも復活せずにすんだのでは……?

 

【第5話「不死鳥の騎士団」】

シリアス路線まっしぐら。空の色がおどろおどろしいし、全体的に色彩が暗いです。「賢者の石」は、戦いの描写はあるものの、私のような純真だった(笑)5歳児の好奇心や想像力をかき立てる内容でしたが、本作品からは魔法界への憧れを抱くことができません。第1話公開当初からのファンの年齢的にも、魔法が存在しないことには気がついているはずなので、魔法界わくわく路線でなくても構わないのかな、とか思ったり。微妙な恋心まで描かれるようになるし。

勝手に対抗試合の代表にされた時と同じように、またまた「ヴォルデモート復活」を友人達に信じてもらえないハリー。ハリーへの信頼ないのか。

それから、「闇の魔術に対する防衛術」の実技を特訓するために、秘密裏に組織した「ダンブルドア軍団」ですが、皆さん優秀過ぎませんか。あんなに守護霊をガバガバ発動できて良いのでしょうか。「野球部じゃないけど放課後に野球を練習し始めたら、甲子園どころか大リーグレベルになっちゃった!」みたいな非現実感は否めなかったです。

 

【第6話「謎のプリンス」】

シリアスで緊迫した場面であるにも関わらず、最後のスネイプの「私が半純血のプリンスだ」に笑いを禁じ得ない。映画館で見たはずなのですが、良く爆笑せずにこらえられたなと自分に感心します。

いや、悪くないですよ。確かに、魔法族とマグルのハーフだし、母方の旧姓プリンスだし。半純血のプリンスに間違いはないのですが、でも、ねえ……。どうしても、名字のプリンスじゃなくて、王子様の方を思い浮かべてしまうではないですか。

たぶん、このラストに持っていかれたせいだとは思うのですが、視聴前はダンブルドアが死んだことしか思い出せませんでした。そして、視聴後の今もダンブルドアが死んだことしか心に残っていません。よって、スネイプがプリンス以外の感想を書くことができません。

何の説得力もありませんが、この回はわりと好きです。

 

【第7話「死の秘宝」(前編)】

ポッター作戦から分霊箱奪取のために魔法省へ入り込むまでは面白いのですが、後半はどうも眠たく感じてしまい……。ロンは、誰かに対して嫉妬しすぎです。途中でいなくなるのはどうかと思いました。

ドビーが大活躍します。ヴォルデモート陣営は、本気で勝利を掴みたいならば、屋敷しもべが戦闘に加わってくれるよう交渉すべきだったのではないでしょうか。第2話でハリーにより自由を得たわけですが、彼は普段、どこにいるのでしょうか。原作読んだら分かるのかな。

 

【第7話「死の秘宝」(後編)】

最後に来て、スネイプ先生の株爆上げ回。今までも、そっとハリーを裏から支える姿、すべては彼の母親への愛ゆえだったのですね。一見、美談に感じられますが、よくよく考えると、既婚女性を愛し続ける中年男性というストーカー的な……。深く考えるのはやめておきます。

スネイプに対して、ダンブルドアの怖さが表面化して彼の株は大暴落です。思い返すと、ダンブルドアが「偉大な校長!!」と崇め奉られていた方がおかしいような気もしますけどね。まあ、多くの強い敵を倒してますし、偉大ではあるのかもしれませんが……。ヒントだけ残して、「あとは謎解き頑張ってくれ」スタイルとか、もう少しどうにかならなかったのでしょうか。ホウレンソウは大事です。

色々ありましたが、無事に完結して良かった!バンザイ!

 

ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅

ほらあ??魔法界の動物すごいだろ!?かわいいだろ!?

という魔法生物紹介が教育テレビ(古い)のごとく繰り広げられるのを見て、「面白くて平和だけど、私が求めているハリポタ感はこれではないはず」という矛盾に苦しんでいたため、ラストのグリンデルバルト登場には安心しました。そう、もう私は「魔法界わくわく感」に満足する年齢ではなく、陰謀とか政争とかに心を躍らせる小汚い人間に成り下がってしまったのです。

ハリー・ポッターとは違い、イギリス以外の都市を舞台にしておりますが、世界観を共有しているので雰囲気を味わいたい人には向くと思います。

 

ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生

クリーデンスの出自のくだりなど、ちょっと話はごちゃごちゃしていますが、これぞハリポタの世界観!という内容で、前作品より楽しめました。グリンデルバルドの独裁者感がすごい。いいですね!ヴォルデモートよりも悪役感があります。

パン屋のおじさん(ジェイコブ)が、非魔法族のはずなのに、最後にしっかり馴染んでいて笑いました。これから戦いが始まりそうな雰囲気ですが、魔法の使えない彼に活躍の場があるのでしょうか……。

 

【総括】

あらためて鑑賞すると、魔法使いに憧れる子供よりも細かな裏設定を楽しみたい大人に好まれる作品に思えました。ファンタビは残り3作制作予定のようなので、公開を心待ちにしております。こうして私も、ハリポタ沼にはまっていく。

そして、日本語版よりも英語版の方が面白いというネット情報を信じて、英語の原作を読めるようにリーディングスキルを伸ばしたいと思います。私は日本語版すら読んだことないのですが……。引越し前に購入するか悩みどころ。

先週でゴールデンウィークが終わり、平凡な在宅勤務が再開しました。外出は週末の食料調達のみ。睡眠が何よりの喜び。なんのやる気もわかず、魔法界に現実逃避をする25歳。やばいですね。私も誰かに魔法をかけられたのかもしれません。

そろそろ頑張って、目覚めようと思います。