これは、関西弁の通じない異邦の地に飛ばされた女が、誰とも話さない長期休みに楽しみを見出すべく立案・実行した記録です。
【背景】
「どんなに好きなものでも、３日もすれば飽きる」と人は言う。
私はカレーが好きだ。暑い夏にスパイスのきいたカレーを頬張る。最高だ。
それでは、カレーを食べ続けたら、どうなるのだろう。やっぱり、飽きるのだろうか。もしくは、ハマりすぎて「お昼ご飯はカレー以外受け付けないんです！」と中毒状態になるのだろうか。
幸いにも、Google マップで「カレー」と検索したところ、徒歩10分圏内にボコボコお店がヒットした。思い立ったら即行動。街の散策も兼ねて、５日間カレーを食べ続けることを目標にお盆休みを過ごしてみることにした。
【記録】
１日目。
自宅から駅までの道の途中に「納豆カレー」と書かれた看板がある。
カレーに納豆。隠し味的な立ち位置と思われる納豆が主役なのか。変な食べ物が大好きであるため、迷わず行ってみることにした。
ネットで調べたところ、かなりの人気店らしい。三密ではないが。ご時世の割には混んでいた。そうかそうか、世の中には納豆ファンがこんなに隠れていたのだなと、納豆好きが喜んだのも束の間、周囲には自分以外に納豆カレーセット及び納豆トッピングを注文している人はいなかった。キーマカレーやビーフカレーなどいわゆる普通のカレーを頼み、「納豆トッピング」と追加オーダーする声が聞こえない。何で誰も頼まへんのや。看板にも「納豆カレー」アピールしてたやん！
バエてない。インスタにはとてもあげられないが、これは個人的な記録なので。
目玉焼きの下から納豆がコンニチハしているが、お味は至って普通の美味しい日本風カレーだった。辛口と書いていたが、普段、甘口〜普通しか食べない私でも辛いとは感じない程度だった。レトルトの辛口くらいの辛さだと思う。激辛が大好きな人は物足りないかもしれないが、私には十分だった。ごちそうさまでした。
２日目。
自宅から徒歩２分という好立地（マンション広告風）。お店の方に「どうやってウチを知ったんですか？」と聞かれ、「家が近いもので・・・」と答えると笑われた。
ここは薬膳カレーがウリらしい。健康効果と美容効果が高いと思われるカレーだが、今まで手を出したことはなかった。何となく、自分の苦手な漢方のイメージがあったからだ。自分の苦手を払拭すべく選んだのが、ジビエカレー。
カレーの味の中に漢方味のあるお味が隠れており、カレー独特のスパイス味は薄かった。特にサフランライスの味が、インド料理店で食べるものとは違う気がした。薬感が強いので、カレーと一緒に口に運んで中和させる感じ。毎日食べたら、健康になれるかもしれない。
そして、初めて食べた鹿肉！ちょうど良い歯応えで食べやすい。お肉の知識が乏しいので、うまい感想がわかないが、臭みもないので美味しかった。
そう言えば私、ベジタリアン目指してるんだった。鹿肉の美味しさを感じているなんて、ベジタリアン失格だ。だからいつまでも、エセから抜け出せないのだ。
３日目。
スープカレーです。ベジタリアン御用達のサラダ専門店でもあります。スープも豊富です。毎週通いたいくらいです。
２日前とは打って変わって、お洒落な写真が撮れました。インスタに投稿すれば良かったです。
お野菜がいっぱいのっています。夏野菜とカレーの組み合わせはとてもよく合います。昨日はお肉、今日は野菜。本来の自分を取り戻した気分です。
想像していたよりも辛かったです。量も多かったです。隣の席のカップルは、彼女側が残してたカレーを彼氏側が頑張って食べていました。私は一人なので残すこともできず、必死にスープを飲みました。カレーは飲み物だと言い聞かせて流し込みました。
４日目。
灼熱の太陽のもと歩くこと約10分。観光地になっている大きなお寺の目の前に、お洒落なカフェレストランがある。七味唐辛子屋さんが経営しているとは想像できない、上品な店内。昼下がりに、マダムがアフタヌーンティーを嗜むカフェだと紹介されても疑わないだろう。そんな落ち着いた雰囲気のカフェレストランの名物が、カレーらしい。
店内の雰囲気と同じくらいおしゃれ。なんか日を追うごとに、バエテナイカレーからオシャレカレーへと進化している気がする。
本日はグリーンカレーをセレクト。隠し味に山椒が使われているらしく、タイ料理のグリーンカレーよりも舌が痺れるような辛さがある。メニューの中で一番辛いカレーではなかったが、十分すぎるほどだった。
隣の席にいた二人組の女性もカレーを食べていた。彼女達は一番辛いカレーを選んだらしく、店内に流れる『亡き王女のためのパヴァーヌ』をBGMに「あーー！！辛い！！！辛い！！！涼みに来たのに、体が熱くなった！！」とずっと繰り返していた。
せっかく七味唐辛子専門店に来たのだから、とカレーではないものも頼んでみた。
ただのジェラートではない。用意されているジェラートも麻種とちょっと変わっているが、さらに普通と違うのは食べ方だ。なんと「お好みのスパイスをかけてお召し上がりください」というもの。私は京都にいた時も頻繁に山椒ソフトクリームを食べていたくらい、アイス×スパイスの組み合わせが大好きだ。スパイスのピリリとした辛みが、うまいことアイスの冷たさで中和されるのだ。
ここぞとばかりにかけた。ふりかけのようにかけた。山椒も七味唐辛子もガラムマサラもかけた。テーブル上にあったスパイスは制覇した。大満足だった。
その夜、謎の腹痛と吐き気に襲われた。
５日目。
すみません。ラストなのに、昨日のカレーのせいで体調がおかしくなったようです。カレーのせいではなく、スパイスかけすぎジェラートのせいかも。
お家でご飯を食べたかったので、コンビニでスープカレーを買いました。すみません。まったく街の散策になっていません。
【感想】
有終の美を飾れなかったのは残念ですが、私はしばらくカレーを食べないことでしょう。
またほとぼりが冷めた頃に、今回行けなかったお店を回ってみようと思います。
